#010

エッサウィラ

2016.02.16

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マラケシュから港街エッサウィラへ移動。

途中、アルガンオイルを製造している恊同組合に立ち寄る。アルガンオイルはアルガンの実を叩いて殻を割り、中の身を取り出して、専用の機械を使って絞り、精製する。食用は石臼を使って手作業で絞る。モロッコ特有の植物だという。このアルガンオイルは、今後Sanpousha Moroccoからさまざまな場所で販売をするための準備が進んでおり、これからパッケージデザインを初め、販売方法について整えていく予定。

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モロッコとの繋がりは、絨毯だけではない。
人も文化もまるごと一緒に繋がっていく。

陽の沈む頃、エッサウィラの海岸へ着いた。風が強くて、細かい粒の砂浜は波のように流れていき、浜と海が一体となって、私たちは大きな大きな海の上に立っているようだった。

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ここはアフリカ大陸。
海のずっと向こうはアメリカ大陸。
丸い地球は水のかたまり。
日本からモロッコは遠いなぁと思っていたけど、たかだか24時間で来れるのなら近いもんだ。

 

もうすぐ9日間のモロッコ滞在が終わる。

 

夜、ホテルのバーで少しのアルコールに辿り着く。
ふっと、気持ちが緩む時間のはずなのに、パソコンを開いて、この旅のこと、また日本で続いている仕事のことについて、思考が止まることはない。

同行した三方舎の松澤さんも、隠し持ってきたナッツとドライフルーツをつまみに、せっせと仕事をしている。記事をひとつアップした。そして、日本に帰って何をするか、少し話をした。この旅の中で自分たちの目で見て感じた世界を整理するのは、一人ではできない。共に仕事をする仲間とともに、この9日間、同じ時間、同じ空間にいた、という経験は、今回の取材の内容を時が経つほどに一層濃くしてくれると思う。

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イマシン村で、海をイメージしデザインした絨毯の制作が続いている。
アーモンドの木の絵柄も第一号ができ上がってきたと聞いた。今もなお、全力で制作は進んでいる。全てが同時並行で進んでいく。
GOSHIMAセカンドクオリティである、モロッコの大地を表現したトラディショナルコレクション・マグリブアートには、それぞれの絵柄に思いを込めた。海の絵柄には、出航して無事に航海を終えて帰ってくること、そして、その航海がいい航海であるように願いを込めて言葉を添えている。

 

人生の一時期、人が全身全力で何かに挑戦する時期があるとすれば、それはすごく大切なこと。

学校で学ぶ時間、試験に向けて勉強をする時間、上達するために鍛錬する時間、修行にでる時間、病気を治す時間、遠い街で滞在する時間、迷いさまよう時間。いつか終わりがくるその期間、意味ある経験であるように。そして、その時間が過ぎた後、その経験こそが人生の助けとなるように。願いを込める。

 

 

『大きな大きな海のうねる波の中に小さな船を浮かべた

いってらっしゃい、気をつけて

港から船が出て

穏やかな日、荒れる日

孤独な冒険をして、その深さと広さを知った

迷ったときには

星と月と太陽が道しるべ

おかえりなさい

長い長い航海を終えて

船が港に戻ってくる

荷物をおろして

旅の途中で出会った

素敵なこと、辛かったこと、笑ったこと

たくさんたくさん聞かせてほしい

小さな船のなかでひろがる壮大な冒険物語』

 

 

私たちの9日間のモロッコでの取材も大きな海での航海のような時間だったのかもしれない。
船が港に着いたなら、荷物をおろしてどんな話をひろげようか。

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全力取材も、あと1日。

 

 

 

Phot : Tooru Takahashi
Text : Akane Kobayashi