#005

4月24日 日曜日ー新潟(5)

2016.04.29

06-05

いよいよ最終日。
新潟でのお披露目はこれでおしまい。

「全力取材記読みましたよ!」と言ってくれる方、
「全力取材記を全力で読みました!」と言ってくれる方、
「全力日記、よかったです!」と言ってくれる方、
「なんか、全力のやつ、おもしろかったです!」と言ってくれる方、
様々に全力で気にしていただき嬉しい限りでした。

全力で、ありがとうございます!

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06-21

「全力」って素晴らしい。

「全力」は消耗することではなくて、次にいくための経験。

 

「MOROCCO全力取材記」は、時には車の中で、アフリカ大陸の広大な大地を駆け抜けながら、時には早朝のホテルのロビーで、ぬるいコーヒーを飲みながら、そのとき感じるままに興奮を記録していたわけですが、「売り場全力取材記」は、ただただ静かに、取り組んできた仕事を見つめ直している、そんな感じだ。

そんなこんなのMOROCCOで制作途中だったあの絨毯たちが、いよいよ日本へ上陸し、新たにオーナーと出会い、それぞれの地へ散って行った。

絨毯というモノとともに、思いや願いが巡って散って行く。

 

この仕事の目標はどこだろうか。

この商品の目的はなんだろうか。

 

売り場にいて、よりいっそう、誰かの、何かの、役に立てるようなものづくり、また、想像を超えていける思考、心踊らせるアイディア、そして、未来に夢とロマンを!など、どんどんイメージは壮大になっていく。

06-24

「ロマン」っていい。

 

背後で、壮大な音楽が鳴っているのが聴こえる。
大げさな指揮者が率いる、大げさなオーケストラの音楽が聴こえる。

「GOSHIMA」というブランドをもっと多くのひとに知ってもらいたいと心から思った。「GOSHIMA」というブランドが世界レベルで通用するものになると思った。

 

新潟の売り場から世界を想像する。
調子に乗った大げさなオーケストラの音が、ぶわ〜んっと大きくなった。

よいイメージは果てしなく広がっていく。
イマジネーションで、ご飯が何膳も食べれる。

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今回お披露目となったGOSHIMA絨毯の新作デザイン制作は「アマジィーグ アート」から始まった。このデザインの絨毯は、売り場ではそれほどまでに強く気にされることはなかったけれど、個人的に一番思い入れのあるデザインだ。だから、「アマジィーグ アート」の前で、ちょっと足を止めるお客様がいると、すかさず熱く意味を語った。聞かれてもいないのに語った。

 

コンセプトを見直してみる。

 

amazigh art ー先住民の芸術的感性ー

アマジィーグ アート

自由=自ら獲得していくちから=生き方/考えるきっかけをもたらす絨毯

 

モロッコの先住民族であるベルベル人を象徴する「アマジーグ」=「自由」という意味をもつマークをデザインの基調とし、その歴史や意味から今を生きる人々が多くのことを学び取ることができる。自由とは、自ら獲得するものであり、与えらえるものではない。そして、獲得したものは、使いこなし、自分のものにしていくための時間とともにある。amazigh( アマジーグ)と呼ばれるマークが、画面の中で重なり合い、新たな表情を見せている。はっきりとは見えない「自由の象徴」は、方向をかえると、また、見ようとすると見えてくる。

 

この「アマジーグ アート」というひとつの世界観をもとに、新作をまとめたイメージ、「意思のあるじゅうたん」という言葉が生まれた。そこから「絨毯から始まる人生、絨毯が教えてくれる生き方」というメッセージも生まれた。

 

インテリアが意思をもつことは、作り手の意思もはっきりすることじゃないか。
そして、意思がはっきりする、ということは、そこが起点となる。
その起点は、誰かの支えになったり、役に立ったりするんじゃないか。
そんな実体感から、このデザインができたし、こういうことが実現できるのは、手づくりだからだと思う。

06-06

唯一、このデザインだけ、手描きで作った。

私たちは共通の言葉で繋がることが難しい人々ともに、ひとつの「GOSHIMA」というブランドを構築している。私たちの手作業と、モロッコの織り子さんの手作業。手作業の通信がこのデザインを通して行われた。

06-15

私たちが「美しい」と思うもの、に対して、織り子さんが「こうかしら?」と作ったもの。
「お元気ですか?」と尋ねてみたら、4ヶ月後に「まあね」と返ってきた。
ゆったりとしたやりとりが、かたちとして、色として表出してくる。
「意思のあるじゅうたん」という言葉にはこんな思いがあります。

 

“星や海や大地の生命力に触れて学ぶことがたくさんあります。GOSHIMA絨毯のセカンドクオリティーとして誕生した「GOSHIMA Traditional Collection」では、なんと、絨毯が語り始めました。そこから語られることに耳を澄ますと、より深く生きることについて考えるきっかけがあるかもしれません。どんな生き方をしたいか、そして次に続く世代にこの世界の素晴らしさをどんな風に伝えたいか。日々の生活とともに人生の指針となるモノであって欲しい。

「GOSHIMA Traditional Collection」にはそんな思いが込められています。

自然豊かなモロッコの風景を映し出した絨毯は、人生の様々な場面でよき先生、よき相棒となりますように。”(大型コンセプトシートより)

 

これは絨毯のことだけではなくて、私たちのまわりにあるすべてのものに言えることだと思っています。例えそれが100円であろうと、100万円であろうと、変わらずモノから発せられる意思を読み取ること、読み取ろうとすること、それはずいぶん見方を変えてくれるだろうし、価値観が変わるかもしれない。だから、エネルギー値が高いものや、温度を感じるものを選ぶことは大事だろうし、また、エネルギーが低いものには自分のちからを分け、温度が低いものは温めてあげようと思う気持ちも大事だと思う。

答えはひとつじゃない、ということ。
だけど、その答えのひとつにGOSHIMA絨毯は価値あるものとしてあるということも事実。
売り場では、たくさんの「意思」に出会えます。そのたくさんの「意思」に出会って見えてくる自分自身があるかもしれません。

06-25

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さて、新潟での展示会が終了し、次は猪苗代へ移動です。
全力で移動。
GOSHIMA絨毯は、重い。思いのほか、重い。
完全にその重量に負ける。勝ちたいと思えないぐらい、重い。

よくぞ日本まで来れたもんだ。

 

売り場全力取材記・新潟編の最後にご紹介するのは、「海」の絨毯。
一定期間何かに挑む人の味方になるといいな、と思ってデザインした絨毯。
今の自分たちにも通じるデザイン。

 

06-29

 

こんな詩をつけた。

 

大きな大きな海の

うねる波の中に小さな船を浮かべた

いってらっしゃい、気をつけて

港から船が出て

穏やかな日、荒れる日

孤独な冒険をして、

その深さと広さを知った

迷ったときには

星と月と太陽が道しるべ

 

おかえりなさい

長い長い航海を終えて

船が港に戻ってくる

荷物をおろして

旅の途中で出会った

素敵なこと、辛かったこと、笑ったこと

たくさんたくさん聞かせてほしい

小さな船のなかでひろがる壮大な冒険物語

06-28

人生の一時期、人が全身全力で何かに挑戦する時期があるとすれば、それはすごく大切なこと。学校で学ぶ時間、試験に向けて勉強をする時間、上達するために鍛錬する時間、修行にでる時間、病気を治す時間、遠い街で滞在する時間、迷いさまよう時間。いつか終わりがくるその期間、意味ある経験であるように。そして、その時間が過ぎた後、その経験こそが人生の助けとなるように。願いを込める。

 

“陽の沈む頃、エッサウィラの海岸へ着いた。

風が強くて、細かい粒の砂浜は波のように流れていき、浜と海が一体となって、

私たちは大きな大きな海の上に立っているようだった。

ここはアフリカ大陸。

海のずっと向こうはアメリカ大陸。

丸い地球は水のかたまり。

日本からモロッコは遠いなぁと思っていたけど、たかだか24時間で来れるのなら近いもんだ。”

(大型コンセプトシートより)

 

06-22

私たちも、次の冒険へ。
よい航海でありますように。

 

引き続き、猪苗代より取材記を全力でアップしていきます。
よかったらお付き合いください。

(売り場全力記 #006~猪苗代編へ続く)
photo:Tooru Takahashi
Text:Akane Kobayashi

 

<<この展示会は終了いたしました。>>

『GOSHIMA絨毯Collection展』
〜Traditional Collection発表会〜
4月9日〜4月24日
10:00~19:00
会期中無休
会場:インテリアショップボーデコール特設展示場
http://www.sps-i.jp/event/20160409_BD/index.html

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